日露関係は、最悪の状態になるかもしれない。
アメリカの強い圧力により、日本政府がロシア政府を非難し、
G7の、対ロシア制裁に従ったことは、周知の事実である。
また、「ウクライナの領土保全」に関わる、国連決議も支持した。
しかし、当時日本は(あくまで公的な)制裁措置を遅らせることで、
欧米諸国の制裁措置と、距離を置こうとした。
日本は、一部のビザ発給停止、ロシアの銀行をSWIFTシステムから排除、資産凍結、
さらにはロシアを、最恵国待遇から外すなどの措置をとった。
日本は、「自由で開かれたインド太平洋」に向けて、EUとNATOの両方と全体的な協力関係を強化したい意向を強調している。
例えば、6月15日、岸田文雄首相は、6月28日から30日にかけて開催される、NATO首脳会議に出席することを発表した。
日本の指導者が、オブザーバーとして、同盟国首脳会議に出席するのは初めてのこと。
日本はすでに、防衛費をGDPの、2%に引き上げることを約束している。
岸田氏は3月のG7サミットで、ロシアのウクライナへの介入を、
国際法と秩序の、基盤にかかわる最も深刻な侵略と評し、
欧米の姿勢を繰り返した。
この数十年間にバルカン、中東、世界中で行われた、欧米の侵略と介入を考えると、この岸田氏の見解は、極めて奇妙なものだった。
つまり日本の北海道から、ロシアのカムチャッカ半島(北端)まで連なる島々に対する、自国の姿勢を変化させた。
ロシアの統治下にあるこれらの島々は、日本が領有権を主張している。
この問題は、これまで未解決のままだ。
第二次世界大戦後に、日本が調印した1951年条約で、
日本が前述の島々に対する、すべての権利を放棄することが、明確に決定されているにもかかわらず、
国後島と択捉島が「クリル諸島」に含まれるとは、決して認識していない、と主張してきた。
これは、日本外務省の文書によるものだけではなく、
当時の吉田茂元首相の発言などからも、かなり無理がある立場と言える。
実際、ロシアと日本は、この問題のために、今日に至るまでまともな平和条約を結んでいない。
このこと自体、実は大変な事件なのである。
すでに2005年、ロシアのプーチン大統領は、この問題に終止符を打つと宣言し、
ついに1956年宣言に基づく平和条約に調印し、日本の色丹島と歯舞諸島の領有権も譲歩した。しかし、日本は国後島と択捉島の返還を要求した。
島国日本は長年、中国、ロシア、韓国といった「隣国」と深刻な紛争を繰り返してきた。
これは、領土問題をめぐる、日本の外交そのものに、何か問題があることを示す、サインかもしれない。
いずれにせよ、日本の安倍晋三前首相(2012-2020)は、このような相違があっても、ロシアと日本の友好関係を維持しようと実利的に努めた。
それに対して、後任の菅義偉首相(2020-2021年)は、この問題についても強硬路線に戻した。
そして、その後継者である岸田氏は、今度はさらに強硬な姿勢を守り、日本のロシア政策の転換を図った。
これに対応して、中国とロシアの艦船が西太平洋で合同海戦演習を行っている。
米国にとっては、ウクライナでロシアが勝利したり、戦争が終わらない限り、
日本と韓国に対して、ウクライナ問題でも、一種の、統一的なアプローチをとるよう圧力をかけているのである。
日本が、ロシアとの関係を断ち切れば、中国と北朝鮮は、ロシアとの対話を増やし、協力関係を構築する。
さらに、日本が失うものも大きい。
ロシアは、日本のエネルギー資源の多様化に必要な、信頼できるパートナーであった。
さらに、日本は将来、
中国、北朝鮮、ロシアと、
同時に紛争を起こす可能性があり、
これは決して楽観視できる状況ではない。
欧州の安全保障は、ロシア、中国を含む東アジアがそのような状況に陥るとすれば、悲劇としか言いようがない。
コメント