日本の20代から30代の若者にとって、SNSはコミュニケーション、情報収集、エンターテインメントに不可欠なツールとなっています。
本記事では、LINE、YouTube、Instagram、X(旧Twitter)が主要なプラットフォームとして際立っており、それぞれ異なる利用目的とユーザー特性を持つことを明らかにします。
視覚的なコンテンツへの嗜好の高まりや、新しいプラットフォームの登場といったトレンドも確認できます。
これらの知見は、この重要なターゲット層に効果的にリーチしようとする企業やマーケターにとって、貴重な情報源となるでしょう。
20代・30代へのエンゲージメントにおけるSNSの重要性
20代から30代の若年層において、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の普及率は非常に高く、彼らの日常生活におけるコミュニケーション、情報収集、そして娯楽の中心的な役割を担っています 。
この高い利用率は、SNSが単なる暇つぶしのツールではなく、生活のあらゆる側面において不可欠な存在となっていることを示唆しています。このような状況下において、企業がこの世代に対して効果的にアプローチするためには、各プラットフォームの特性や利用者のニーズを深く理解することが不可欠です。
主要なSNSプラットフォームの利用状況、ユーザー層の特徴、利用目的、最新のトレンドなどを詳細に分析し、企業が20代から30代の若者に効果的にリーチするための戦略的な洞察を提供します。

日本における主要SNSプラットフォーム:統計的概要

日本国内で利用されている主要なSNSプラットフォームを、ユーザー数と利用率の観点から見ていきましょう。
LINE、YouTube、X(旧Twitter)、Instagram、TikTok、Facebookが特に高い利用率を誇っています 。
- LINE: 国内月間アクティブユーザー数は9,700万人以上であり、利用者数と利用率の両方で国内トップのSNSです 。
特に20代の利用率は98.1%とほぼ全員が利用しており、30代でも90%を超える高い利用率を示しています 。LINEは、友人や家族との日常的なコミュニケーションのインフラとして確立されており、ニュース閲覧の目的でも利用されています 。
この圧倒的な普及率は、企業が基本的な情報発信や顧客サービスを提供する上で、LINEが不可欠なプラットフォームであることを示唆しています。高いユーザー数と利用率が示すように、LINEは広範なリーチと高いエンゲージメントの可能性を秘めています。 - YouTube: 国内月間アクティブユーザー数は7,120万人で、利用者数ランキングではLINEに次ぐ2位です 。全年代の利用率は87.9%ですが、特に20代の利用率は97.7%と非常に高く、30代も97.1%とほぼ同水準です 。
主な利用目的は、暇つぶしやエンターテインメント、興味のある情報の収集です 。YouTubeの広範なコンテンツと高い利用率は、企業が動画コンテンツを通じて多様なターゲット層にリーチし、深いエンゲージメントを築くための強力なツールとなり得ます。
特に、20代・30代の若年層に対しては、趣味や関心に合わせた動画マーケティングが有効と考えられます。 - X(旧Twitter): 国内月間アクティブユーザー数は6,700万人です 。全年代の利用率は46.2%ですが、20代の利用率は81.6%と最も高く、次いで30代が61.0%となっています 。
Xは、リアルタイムの情報収集やトレンドの発見に利用されており 、趣味や関心事に関する情報収集、世界のニュースのチェック、企業からの情報収集、製品やサービスの発見・レビュー確認など、多岐にわたる目的で利用されています 。
Xのリアルタイム性と情報の拡散性の高さは、企業が最新情報を迅速に発信し、トレンドに乗じたマーケティングを展開する上で大きなメリットとなります。特に、20代を中心とした若年層への情報発信には効果的です。 - Instagram: 国内ユーザー数は約6,600万人です 。全年代の利用率は48.5%ですが、20代の利用率は78.6%と高く、30代も68.0%が利用しています 。男女比では女性の利用が多く、特に10代から30代の女性に人気があります 。
主な利用目的は、興味のある投稿や特定のアカウントの閲覧、友人とのコミュニケーションです 。また、ファッションやコスメなどの情報を集める目的でも利用されています 。Instagramの視覚的な特性と高いエンゲージメント率は、ファッション、美容、インテリアなど、「映える」商材を扱う企業にとって、認知度向上やファン育成に非常に有効なプラットフォームです。 - TikTok: 国内月間アクティブユーザー数は3,300万人です 。全年代の利用率は28.4%ですが、10代の利用率が約66%と非常に高く、20代も36.4%が利用しています 。
30代の利用率は22.3%と比較的低い傾向にありますが、増加傾向にあります 。主な利用目的は、面白い動画の視聴であり、特に20代・30代では「あるある」ネタや特定のタイプの女性に関する動画が人気です 。
TikTokの短尺動画フォーマットと高い拡散力は、若い世代へのリーチに非常に有効であり、トレンドを取り入れたクリエイティブなコンテンツが求められます。 - Facebook: 国内月間アクティブユーザー数は2,600万人です 。全年代の利用率は32.6%ですが、利用率が最も高いのは30代で45.7%です 。
Facebookは、30代から40代のユーザーに人気が高く 、特に30代の利用目的は仕事に役立つ情報の閲覧が多いとされています 。
Facebookは、実名登録が基本であるため、ビジネスパーソンが多く利用する傾向があり、BtoBマーケティングや専門性の高い情報発信に適しています。




20代・30代における利用目的とコンテンツの傾向
20代から30代の若者が各SNSプラットフォームをどのように利用し、どのようなコンテンツに関心を持っているかを詳しく見ていきましょう。
- LINE: 20代・30代にとって、LINEは友人や家族との主要なコミュニケーション手段であり 、日常的な連絡ツールとして不可欠です。
また、LINEニュースを通じて最新のニュースをチェックする習慣も根付いています 。この世代にとって、LINEは単なるメッセージングアプリ以上の存在であり、生活情報プラットフォームとしての側面も持ち合わせています。 - YouTube: この世代は、主に暇つぶしやリラックス目的でYouTubeを利用しています 。自宅でくつろいでいる時や寝る前に視聴することが多く、著名人や興味のある分野のコンテンツを積極的に視聴します 。
YouTubeは、多様なジャンルの動画コンテンツが豊富に存在するため、個々の興味関心に応じた情報収集やエンターテインメントのニーズを満たすプラットフォームとして広く利用されています。 - X(旧Twitter): 20代・30代は、Xを暇つぶしや趣味・関心事に関する情報収集の目的で最も頻繁に利用しています 。リアルタイム性の高いXは、世界のニュース速報をチェックしたり、企業の公式アカウントから情報を収集したり、新しい製品やサービスを発見してレビューを確認したりするのにも役立ちます 。
この世代にとって、Xは最新情報をいち早く入手し、社会の動向を把握するための重要なツールとなっています。 - Instagram: 20代・30代がInstagramを利用する主な目的は、興味のある事柄に関する投稿や、関心のある特定のアカウントの投稿を閲覧することです 。友人や知人とのコミュニケーションにも利用されます。
特に女性の間では、ファッションやコスメに関する情報収集の手段としても重視されています 。Instagramの視覚的な魅力は、この世代のライフスタイルやトレンドへの関心を捉え、共感を呼ぶコンテンツを通じて深いエンゲージメントを生み出しています。 - TikTok: 20代・30代にとって、TikTokは面白い動画を視聴するためのプラットフォームです 。
特に、共感しやすい日常の「あるある」ネタや、特定の属性を持つ女性に関する動画が人気を集めています 。TikTokの短尺動画は、手軽に楽しめるエンターテインメントとして、この世代のスキマ時間を埋めるのに役立っています。 - Facebook: 30代のユーザーは、仕事に役立つ情報を得るためにFacebookを利用する傾向が強いです 。ビジネスプロフェッショナルが多く利用するFacebookは、業界ニュースや専門知識の共有、ビジネスネットワークの構築といった目的で活用されています。
全体的な傾向として、InstagramやTikTokのような視覚的なコンテンツ(画像や動画)への関心が高いことが挙げられます 。
また、XやInstagramは、単なるコミュニケーションツールとしてだけでなく、情報収集や製品リサーチの手段としてもますます重要になっています 。
企業は、これらのプラットフォームの特性を理解し、視覚的に訴求力のあるコンテンツや、ユーザーが求める有益な情報を提供することで、20代・30代の若者との効果的なエンゲージメントを図ることができます。

近年、20代・30代の若者の間で人気が高まっているSNSプラットフォームや新しい機能、トレンド
近年、20代・30代の若者の間で注目を集めている新しいSNSプラットフォームやトレンドを見ていきましょう。
- BeReal: 加工されていない日常の瞬間を共有することに特化したSNSとして、特に若年層の間で人気が高まっています 。毎日ランダムな時間に通知が届き、2分以内に撮影した写真(インカメラとアウトカメラ同時撮影)を投稿する仕組みが、リアルな日常を共有したいというニーズに合致しています。このトレンドは、過度に装飾されたコンテンツよりも、よりオーセンティックな体験を求める若者の心理を反映していると考えられます。
- Threads: Instagramと連携したテキストベースのSNSとして登場し、短期間で多くのユーザーを獲得しました 。X(旧Twitter)の代替となる可能性も指摘されており、Instagramのユーザー基盤を活用しながら、より気軽にテキストでのコミュニケーションを楽しみたい層に支持されています。
- Lemon8: 興味関心の発見コミュニティをコンセプトとしたSNSアプリで、特に20代・30代の女性を中心に、コスメやファッションなどの情報を集めるのに特化しています 。ハッシュタグを活用した情報検索や、投稿へのリンク掲載機能などが特徴で、特定の趣味や関心を持つユーザーにとって価値の高いプラットフォームとなっています。
- NauNau: 友達や家族の現在地を地図上で共有できる位置情報共有アプリとして、若年層を中心に利用が広がっています 。リアルタイムでの位置情報共有は、友人との待ち合わせや、イベントでの合流などをスムーズにするだけでなく、新しい形のコミュニケーションを生み出す可能性も秘めています。
- 短尺動画コンテンツ: TikTokの成功を受けて、YouTubeもYouTube Shortsを積極的に展開するなど、短尺動画コンテンツの人気は依然として高く、今後もこの傾向は続くと予想されます 。数秒から数十秒程度の短い動画は、手軽に視聴できるため、忙しい現代人、特に若年層のニーズに合致しています。
- Ephemeral(エフェメラル)コンテンツ: Instagram StoriesやBeRealのような、一定時間で消える投稿形式も人気を集めています。これらの機能は、よりカジュアルでリアルタイムな情報共有を可能にし、ユーザー間の親近感を高める効果があります。

これらの新しいプラットフォームやトレンドは、若者の価値観やライフスタイルの変化を反映しており、企業はこれらの動向を注視し、マーケティング戦略に取り入れていく必要があります。
各SNSプラットフォームのメリット・デメリット、特徴的な機能などを比較検討し、20代・30代の若者に受ける理由を分析
主要なSNSプラットフォームのメリット・デメリット、特徴的な機能、そして20代・30代の若者に支持される理由を比較検討します。

LINE:
- メリット: 圧倒的なリーチ力、ダイレクトなコミュニケーションに適している、メッセージの開封率が高い 。
- デメリット: 過度な利用は敬遠される可能性がある、長文コンテンツには不向き、メッセージの過負荷 。
- 特徴的な機能: メッセージング、音声・ビデオ通話、LINEニュース、企業向け公式アカウント。
- 20代・30代に受ける理由: 日常的なコミュニケーションに不可欠であり、社会生活に深く浸透している 。
YouTube:
- メリット: 幅広いリーチ、動画コンテンツに強い、深い情報提供やエンターテインメントに適している 。
- デメリット: 視聴に時間がかかる場合がある、コンテンツ制作に手間がかかる 。
- 特徴的な機能: 動画共有、ライブストリーミング、コミュニティ機能、YouTube Shorts。
- 20代・30代に受ける理由: 多様な興味関心に対応する膨大な無料動画コンテンツが容易にアクセスできる 。
X(旧Twitter):
- メリット: リアルタイム性、高い拡散力、速報性、会話への参加やトレンド把握に適している 。
- デメリット: 情報過多、ネガティブな意見や炎上のリスク、短文での情報伝達の制約 。
- 特徴的な機能: 短文投稿、リツイート、ハッシュタグ、トレンド、Spaces(音声)。
- 20代・30代に受ける理由: 最新情報をリアルタイムで入手でき、社会の動向や興味のあるトピックについて手軽に意見交換できる 。
Instagram:
- メリット: 視覚的な訴求力が高い、ブランドイメージの構築に適している、若年層や女性からのエンゲージメントが高い 。
- デメリット: 高品質なビジュアルコンテンツが必要、年齢層の高い層へのリーチは限定的、「インスタ疲れ」の可能性 。
- 特徴的な機能: 画像・動画共有、ストーリーズ、Reels(短尺動画)、ライブ配信、ショッピング機能。
- 20代・30代に受ける理由: 視覚的な自己表現やトレンドの発信・受信に適しており、共感や憧れを生み出すコンテンツが多い 。
TikTok:
- メリット: 短尺動画による高いエンゲージメント、高い拡散力、他のSNSと比較して広告への抵抗感が低い 。
- デメリット: 若年層へのリーチが中心、特定の業界には不向きな場合がある、ブランドイメージへのリスク 。
- 特徴的な機能: 短尺動画作成・共有、音楽連携、トレンドやチャレンジ機能。
- 20代・30代に受ける理由: 短時間で手軽に楽しめるエンターテインメント性が高く、トレンドに乗りやすい 。
Facebook:
- メリット: グループ機能によるコミュニティ形成、詳細なターゲティング広告、20代後半から30代以上の層へのリーチに適している 。
- デメリット: 若年層のエンゲージメントは比較的低い、他のプラットフォームと比較して「クール」ではないという認識がある 。
- 特徴的な機能: 個人プロフィール、企業・団体ページ、グループ、イベント、長文コンテンツ投稿。
- 20代・30代に受ける理由: 友人や家族との繋がりを維持しやすく、共通の趣味や関心を持つグループに参加しやすい。30代にとっては仕事関連の情報収集にも利用される 。


各SNSプラットフォームが20代・30代の若者に受ける理由

各SNSプラットフォームが20代・30代の若者に支持される背景には、それぞれのプラットフォームが提供する価値と、この世代のニーズやライフスタイルが合致している点が挙げられます。
LINE: 日常的なコミュニケーション手段としての利便性が高く、日本の社会において不可欠なツールとして深く根付いているため、幅広い年齢層、特に20代・30代にとって利用が当たり前となっています 。
YouTube: 趣味や関心事に応じた多様な動画コンテンツを無料で手軽に視聴できる点が、エンターテインメントや情報収集を求める20代・30代のニーズに合致しています 。
X(旧Twitter): リアルタイムで最新情報を入手し、社会の出来事や興味のあるトピックについて他のユーザーと意見交換できるプラットフォームとしての価値が、情報感度の高い20代・30代に支持されています 。
Instagram: 視覚的な自己表現の場を提供し、洗練されたおしゃれな情報に触れることができる点が、自己顕示欲やトレンドへの関心の強い20代・30代に魅力的です 。
TikTok: 短時間で楽しめるエンターテインメントコンテンツが豊富であり、トレンドが次々と生まれる活気のある雰囲気が、短い時間で刺激を求める傾向のある20代・30代に人気です 。
Facebook: 友人や家族との繋がりを維持できるだけでなく、共通の趣味や関心を持つコミュニティに参加できる点が、社会的な繋がりを重視する20代・30代に利用されています。また、30代にとっては、仕事に関する情報収集やビジネス上の繋がりを築く場としても活用されています 。
各SNSプラットフォームの最新の利用状況や今後の展望
最新の利用状況を見ると、20代から30代にかけて依然として高いSNS利用率が維持されています 。特に、InstagramとX(旧Twitter)は、この年齢層の中でも若い世代に強く支持されています 。
YouTubeは、エンターテインメントと情報収集の両面で依然として主要なプラットフォームです 。TikTokは、特に20代前半の層で利用が拡大しており、その成長が注目されます 。一方、Facebookの利用率は、この年齢層においては他のプラットフォームと比較して安定していますが、低い傾向にあります 。
今後の展望としては、視覚的なコンテンツと短尺動画の重要性がさらに高まると予想されます 。BeRealやThreadsのような新しいプラットフォームが、特定のニーズを持つユーザー層を開拓する可能性があります。
また、SNSがeコマースや製品発見の場としての役割を増していくことも考えられます 。20代・30代の若者の間では、プラットフォームの嗜好に変化が見られる可能性もあり、例えば、一部の若い層ではYouTubeの利用がわずかに減少する兆候も見られます 。
各プラットフォームは、ユーザーのニーズの変化に対応するために、機能やサービスを継続的に進化させていくでしょう。企業は、これらの動向を常に把握し、変化に合わせてマーケティング戦略を柔軟に調整していく必要があります。
結論と提言
日本の20代から30代の若者におけるSNSの利用状況について詳細な分析を行いました。主要なプラットフォームであるLINE、YouTube、Instagram、X(旧Twitter)、TikTok、Facebookは、それぞれ異なるユーザー層と利用目的を持ち、この世代の日常生活に深く浸透しています。
近年では、BeRealやThreadsといった新しいプラットフォームも登場し、注目を集めています。
マーケティング担当者や企業がこの世代に効果的にリーチするためには、以下の提言を考慮する必要があります。
- 各プラットフォームの特性と、20代・30代の若者の利用目的や嗜好に合わせてコンテンツを最適化することが重要です。
- InstagramやTikTokのようなビジュアルコンテンツが重視されるプラットフォームでは、高品質な画像や動画制作に注力すべきです。
- LINEは、パーソナライズされた情報提供や顧客サービスに活用し、そのプライベートな性質を尊重したコミュニケーションを心がける必要があります。
- X(旧Twitter)は、リアルタイムな情報発信やトレンドに乗じたキャンペーンに活用し、ユーザーとの積極的な対話を促すことが有効です。
- 新しいプラットフォームの動向も注視し、特定のユーザーセグメントへのアプローチに活用することを検討すべきです。
- SNSをeコマースや製品発見の場として活用する際には、ユーザーがスムーズに購買行動に移れるような導線を設計することが重要です。
- 20代と30代の間でもプラットフォームの利用傾向やニーズに違いがあるため、ターゲットとする年齢層を明確にした上で戦略を立てる必要があります。
- SNSの利用状況は常に変化しているため、効果測定と分析を継続的に行い、戦略を柔軟に修正していくことが求められます。
これらの提言を踏まえ、データに基づいた戦略的なアプローチを採用することで、企業は20代・30代の若者とのより効果的なエンゲージメントを実現し、ビジネス目標の達成に繋げることができるでしょう。
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